ビジネスの視点から見る「2020年東京オリパラ」

2020年7月24日から8月9日の17日間に東京オリンピック、そして8月25日から9月6日の13日間に東京パラリンピックが開催されます。

数多くの国から誘致に選ばれるのはそう何度もあることではないため、日本国内は大盛り上がりを見せています。また、経済効果にも期待できるので、多くの企業がビジネスチャンスを狙っているようです。

今回はビジネスの視点から2020年東京オリパラについて考えてみましょう。

 

2020年東京オリパラとビジネスのつながり

東京オリパラが開催されれば、世界中から自国の選手や好きな選手を応援するために東京に大勢の人が集まります。人が多く集まるということは、経済効果が高まることは間違いありません。

では、どのくらいの経済効果が期待されているのでしょうか?東京都が2017年に試算した結果によれば、誘致が決定した2013年から終了後の2030年までの18年間で経済効果は約32兆円に上ると予想しています。開催時だけではなく、開催前後も経済効果が見込めると予想されているのです。

しかも、この経済効果は32兆円のうち60%は東京を占めていますが、残りは他の地域に出るとされており、日本全国に効果が広がると期待されています。

なぜ、ここまで高い経済効果が期待できるのかと言うと、試算は大会開催に直接投資されるお金とは別に、来日観光客が増えるといった付随効果もあると期待されているからです。

東京都の試算では大会への直接投資は2兆円に止まり、付随効果は10倍を超える28兆円と予想されています。特にインバウンド市場に良い影響をもたらすと考えられるので、特にインバウンド事業者は事業拡大のビックチャンスと言えるでしょう。

 

ビジネスがスポーツを勝っている事実

オリパラとビジネスのつながりが強くなっている現代は、商業主義の意識が高まっている問題にも目をくれる必要があります。オリンピック本来の目的は“スポーツを通じて平和な世界の実現に寄与する”ということであり、平和の祭典として執り行われていました。

しかし、開催するためにはスタジアムの建設や環境整備などがあり、開催都市は莫大な費用を負担する必要があり、赤字が続く理由から一時期不人気でした。

そんな中で、1984年の大会ではロサンゼルス市が唯一開催都市に立候補しています。1984年のロサンゼルス大会では、1932年にロサンゼルスで開かれた時に使われたスタジアムを再活用し、税金を一切使わずに実施されました。開催の経費はどのように稼いだのでしょうか?

実はテレビの放送料やスポンサーからの協力資金、入場料、記念グッズの販売から資金を儲け、最終的に約400億円の黒字で大会を成功させたのです。この1984年のロサンゼルス大会以降、オリンピックに商業主義が根付くようになったと言われています。

当時は開催に必要なお金がないために行われた工夫ですが、元サッカー日本代表を務めたイビツァ・オシム氏は、“今はビジネスがスポーツに勝ってしまっている”と発言しています。どの大会にしても今はお金があり過ぎる状況であり、それが開催誘致を目的に賄賂が広がる要因を生んでいるのです。

例えば、2017年のリオデジャネイロ大会では、大会委員長のヌズマン氏に買収の疑惑が持ち上がり、ブラジル連邦検察に起訴される騒動がありました。2020年の東京オリンピックでも開会式のA席のチケット代が30万円と高額で、また放映権も高騰しており、商業主義に飲み込まれていることが分かるでしょう。

また、結果的に一般人からお金を押し取る構造となっているので、スポーツを愛する人々の犠牲で成り立っているともオシム氏は明かしています。

オシム氏は、スポーツと関係のない人々も犠牲になると懸念も持っています。オリパラではボランティアスタッフが大会をアシストしています。あくまでもボランティアであるため、参加者は無償で参加することとなります。運営側は儲かる一方で働くボランティアスタッフには恩恵は得られず、「ブラックボランティア」や「やりがい搾取」などの批判が出ました。

オシム氏はお金を稼ぐこと自体は重要とした上で、運営する職員や携わる人々に対して雇用責任が必要だと語っています。

 

パナソニックが追求するスポーツを通じた街づくり

オリパラに関連するビジネスの中には、将来のためになるものも数多く存在します。

例えば、東京オリパラの推進本部長でパナソニックの執行役員である井戸正弘氏は、“スポーツ施設を核とした街づくりが今後重要になる”と記者説明会で発言しました。パナソニックは東京オリパラに向けた直接需要と間接需要の合計において、2015年度から2020年度までの累計販売額の目標を1500億円としていました。

それに対して、累計販売額は2000億円を上回る見通しと発表しました。さらに、日本国内でのスポーツビジネスはオリパラが終わった後も拡大すると予想しています。井戸氏によれば、日本でも欧米にある2万人規模を収容できるアリーナやスタジオを中心の街づくりが増えるだろうと考えています。

パナソニックはこれまでにアリーナ・スタジアム向けにデジタル機器や入退場管理・POSなどのITシステムの開発を手掛けています。さらに、Jリーグのガンバ大阪の事業運営も行っています。

その経験を活かし、スポーツ事業を主体にデジタルマーケティングの運用ノウハウなどを提供する事業に取り組んでいます。事業はスポーツ施設とその周辺の街づくりを一体で考え、単純に施設の稼働率アップだけではなく、観戦やスポーツ体験を目当てに訪れる人を増やし、街の活性化などの相乗効果を引き出す狙いがあるようです。

観光資源が少ない地域も大きなスポーツ施設の建設やそれを活かした街づくりが進むことで、地方復興につながると期待できます。

 

東京オリパラの開催時期の働き方

サイボウズ チームワーク総研は東京オリパラの開催期間中の働き方対応に関する、実態調査を行ったので結果をご紹介します。

 

・開催期間中の通勤や仕事への移動

東京オリパラの開催期間中は交通機関の混雑があると考えられます。通勤や仕事上の移動に関する質問に治して、不安があると答えた人が36.6%、やや不安があると答えた人は31.8%でした。

つまり約7割の人が開催中の交通機関での移動に不安を持っていることとなります。不安と思う理由は「移動や時間に手間がかかりそう」という内容が、92.4%と圧倒的に占めています。

また、本音を言うと開催中は休みたいと思っている人は、70.6%となっています。大会を観戦したい人は53.3%を占めますが、最も多い理由は交通混雑を避けたという理由が73.2%を占めており、移動への不安は大きいと伺えるでしょう。

 

・企業側の対応

企業側は何か対策を考えているのかという問いに対して、対策の検討を予定していないと回答している企業は38.8%です。その一方で、時期は未定だが検討している企業が27.2%、すでに検討中・対策を決めている企業が14.6%となっています。

では、具体的にどんな対策を検討しているのかというと、上位には時差通勤やスケジュール調整の推奨がありました。また、政府が推進するリモートワークは4位となっており、勤務管理や新システムの社員教育、セキュリティ対策など、導入に関する懸念の声も上がっています。

調査内容を見る限り、開催時の通勤や移動に不安の声がありますが、現時点で具体的な対策の検討が進んでいる企業は多くないと分かりました。特にリモートワークは企業規模に応じて必要性に差が見られ、導入にも懸念があるようです。

 

今回はビジネスの視点から東京オリパラを見てみましたが、経済やビジネスにおいて良い効果が期待できる分、問題点や課題があると分かりました。実際の経済効果は開催してみないと分かりませんが、開催時期が近付いたことでオリパラと連動する新しいビジネスにますます注目と期待が集まることでしょう。

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