すっかり涼しくなり、秋の訪れを感じます。大学2~3年生の方は、来年の就職活動に向けて、そろそろ本格的に就職先を考え始める時期ではないでしょうか。
今回は、そんな学生が気になるテーマ「売上と利益はどちらが重要か?」「利益率の高い業界はどこか?」について私見を述べたいと思います。
何を軸に企業を選ぶべき?「売上」と「利益」はどちらが重要なのか?
さて、あなたは「どの会社に入りたいか?」を考える際に、何を必須条件とするのでしょうか?
既にやりたい仕事が決まっている人なら、「業種」が条件でしょう。
仕事と家庭を両立することが必須条件なら、「福利厚生」や「ワークライフバランス」で選ぶでしょう。いずれマイホームを購入したいから、「転勤なし」の会社を選ぶ人もいるでしょう。「何を基準に会社を選択するか」は人によって様々です。
会社を選択する条件のひとつに、「売上」があると思います。「売上」の多い企業ほど、社会への影響力が大きいですし、安定している印象があるでしょう。このイメージは概ね正しいです。
しかし、優良企業を見極める際に、「売上」だけで判断することは非常に危険です。中には、「売上」は伸びているが赤字経営が続いているという企業もあるからです。
例えば、アメリカのソフトウェア開発会社であるZendeskは、売上3億ドルにもかかわらず、1.4億ドルの営業赤字です。世の中には売上至上主義な経営者もいますが、それだといつか経営に失敗し倒産してしまうリスクがあります。
会社を選ぶ際は、「売上」だけでなく「利益」にも注目すべきです。たしかに、会社経営において「売上」は欠かせないものです。「利益」は「売上-コスト」の引き算で算出されますから、そもそも「売上」が立たなければ「利益」も立ちません。
そして、「利益」は成長投資の原資となるため、会社が存続するためには「利益」も欠かせません。「利益」がなければ会社は衰退し、いずれ倒産します。会社が大きく成長していくためには、より多くの「利益」を出して、「利益」を原資に投資を行うことが重要なのです。
では「売上」と「利益」はどちらが重要なのか――。
私の答えは、「どちらも同じくらい重要」です。中には「利益」の方が重要だと考える人もいますが、私は上記の理由からどちらも同じくらい重要であると考えます。どちらも同じくらい重要なものであり、両者を比べることはナンセンスです。
「利益率」の高い業種は何?メーカーと人材サービスの違い
どれくらいの「利益率」を出せば合格点なのでしょうか?それは「企業規模」や「業種」によって異なります。
例えば、1億の利益が出たとして、従業員5千万人なら不合格ですし、数十人なら大成功です。「企業規模」が大きければ大きいほど人件費がかかりますから、より多くの「利益」が必要となります。
業界動向サーチが発表している「業種別利益率ランキング」をもとに、業種ごとの「利益率」についてみてみましょう。
このサイトをみると、どの業種の「利益率」が高いのかが明確にわかります。(参考URL:https://gyokai-search.com/5-riritu.html)
様々な「業種」の中でも、主にメーカーや商社は「売上」が高いですが、その分コストも高く、「利益率」は低い傾向にあります。
例えば、高いコストがかかる「食品」や「自動車」等のメーカーは、「利益率」が約5%前後とあまり高くありません。「利益率」ランキングの上位を占めるのは、「ソフトウェア」「金融」「保険」等の無形商材が多いです。無形商材であるが故、コストが低いからでしょう。
特に人材サービスやITは「売上」は小さいですが、「利益率」が高い傾向にあります。「売上」はメーカーに比べれば低いですが、コストも低く抑えられるため、高い利益率が見込めます。
IT企業の世界では、売上=粗利というケースも珍しくありません。販管費を80%に抑えることができれば、超優良企業として黒字経営が続けられるでしょう。
結論、どの「業種」でも、売上からコストを差し引いて、20%以上の利益が残る企業であれば利益体質といえます。利益の80%でコスト((外注費や従業員の給与等)がまかなえるようであれば、新規企業等の将来の投資に使える原資が十分に確保できていますし、黒字経営ができているといえます。
最後に
いかがでしたか?あくまでも参考程度の内容ですが、就職先を考える際に少しでも参考になれば幸いです。
就職先を考える際に、「売上」だけでなく「利益」も考えて検討するとよいでしょう。両者は異なる性質のものであり、どちらも同じくらい重要です。
たとえ「売上」が小さい企業でも「利益率」が高ければ、十分に超優良企業といえるでしょう。
社会人になると、人生の大半を会社で過ごすことになりますから、会社選びはとても重要です。仕事=人生といっても過言ではないでしょう。
希望する会社を選ぶ際は、「売上」「利益」以外にも、「やりがい」「給与」「福利厚生」等の様々な判断材料があります。あらゆる判断材料を基に、自分自身が納得できる会社を慎重に選ぶとよいでしょう。
あなたの就職活動が上手くいくことを心から願います。
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