YouTuberはもう一つの職業として定着しています。
通常はフリーランスで配信を行っている人が多いのですが、メディア出演も増えたことで事務所入りする人も多いです。
事務所というと芸能人が入る芸能プロダクションをイメージしますが、YouTuber専門の事務所も今ではたくさん存在します。
中でも大手と知られている事務所は「UUUM」です。
YouTuberブームを巻き起こしたHIKAKINやはじめしゃちょーなどが所属していますが、最近は退所する人が増えていると話題になっています。
そこで今回はYouTuberの専門事務所について、退所が相次ぐ理由などをご紹介していきましょう。
YouTuber専門の事務所とは?
芸能プロダクションと同じく、所属するYouTuberに対してマネジメントを行っている組織がYouTuber専門の事務所です。
社会的影響力の強さから、最近はメディアがYouTuberに出演を申し込んだり、企業がコラボを企画したりするケースが増えています。
フリーランスのYouTuberは個人で案件のスケジュール調整を行い、他にもイベント時の雑務やグッズ販売、税金の手続などを行いつつ、本業の動画制作を行わなければなりません。
しかし、事務所入りすることで雑務は事務所の人がサポートしてくれるので、YouTuberは動画制作に集中できます。
HIKAKINやはじめしゃちょーのような人気YouTuberは、スケジュールの調節やイベントへの出演など個人では仕事をさばききれないので、事務所入りはYouTuberを続ける上で大きなメリットがあると言えるでしょう。
すでにYouTuber専門の事務所は30を超えており、YouTuberも職業として浸透していることが分かります。
大手事務所・UUUM(ウーム)とは
YouTuber専門事務所の中でも最大手となるのがUUUMです。
UUUMには有名YouTuberがたくさん所属していますが、最近は退所するYouTuberが増えているという話題で持ちきりです。
退所が増える理由に触れる前に、まずはUUUMとはどんな事務所なのかご紹介しましょう。
・HIKAKINの出会いで立ち上げられた事務所
UUUMの代表は 鎌田和樹氏が務めています。
鎌田氏は2013年にHIKAKINと出会い、自分自身もYouTubeで商品紹介の動画を配信していました。
自分自身がYouTubeで活動する中で、商談の進め方が分からない、また代理店などからは法人でないと契約できないと言われたなどの個人活動における悩みを持つ人がいることが分かり、YouTuberが活動しやすい環境をつくるためにUUUMを立ち上げました。
・クリエイターが継続的に発信できる環境を提供
UUUMでは、YouTuberに対して以下のサポートを行っています。
・法律に基づいたコンテンツ制作のアドバイス
・UUUMサイト内でのグッズ販売やイベントの開催、メディアへの対応、企業案件の紹介などコンテンツの収益化サポート
・健康診断、予防接種
・お金や生活の人生設計や引越し、防犯
このようにコンテンツに関わるものから、本人たちのプライベートまでサポートしているようです。
そのため、安心してYouTuberはコンテンツ作りや発信が行えます。
・動画制作の環境を強化
より優れた動画制作をしてもらうために、ウェブポータルサイトをいくつか作成しています。
各ウェブポータルサイトでは、著作権フリーの音源や画像素材の取得が可能で、自分がつくる動画で利用できます。
また、所属するYouTuberとの交流や勉強会も行えるサイトです。
YouTuberでは、よく他のYouTuberとコラボ動画を作るケースも多いです。
個人だと自分で相手と交流を持ち、オファーしなければなりません。
しかし、UUUMに所属していれば、個人的なオファーよりも効率よくコラボ相手を見つけることができ、よりクリエイティブな動画制作が可能となるでしょう。
・アカデミーを運営している
UUUMでは、UUUMアカデミーを運営しています。
YouTuberはなろうと思えば誰にでもなれますが、一定の影響力のあるYouTuberで居続けるためにはオリジナリティや差別化といった色々な技術・知識が求められます。
UUUMではチャンネル運営に欠かせない知識や技術を学べるアカデミーコースを始め、音楽活動をサポートするプログラムや演技の基礎から応用まで学べるプログラム、アニメーション、声優・ナレーション、撮影技術など色々なプログラムに参加可能です。
アカデミーを通じて、自分がなりたいと思うクリエイターを目指せます。
UUUMでYouTuberの退所が相次ぐ理由
YouTuber専門の事務所としては最大手で人気YouTuberも多く所属するUUUMですが、退所ラッシュが進んでいます。
2020年6月に入ってからも、エミリンを始め一気に4組が退所を報告しました。
これには動画ファンも衝撃で、ネット上では驚きの声が上がっています。
事務所に入れば安定した活動が行えるメリットがあるのに、4組はなぜ事務所を退所したのでしょうか?
退所の詳しい理由は明かされておらず、当人達は動画で円満退社と告げています。
しかし、退社ラッシュが続く背景には、デメリットが影響していると考えられます。
・20%のマネジメント料の支払いが必要
まず退所の理由となっている可能性が高いのは、マネジメント料です。
事務所に入りマネジメントを受けるにあたり、YouTuberはマネジメント料の支払いが必要です。
YouTuberは自身の動画で発生する広告収入やメディア出演、企業案件などから報酬を得ますが、その一部は事務所およびマネージャーの利益となります。
これは一般的な芸能プロダクションでも同じ仕組みです。
UUUMの場合、報酬から20%分のマネジメント料が差し引かれると言います。
例えば、3000万円の広告収入が入れば、600万円も差し引かれてしまいます。
70%は自分の報酬になるとは言え、高額の報酬を獲得しているYouTuberにとっては重い数字でしょう。
かつて同事務所に所属していたおのだまーしー氏は、同じく脱退した他のYouTubeの話を聞き、20%は高すぎるのでは、と自身の動画で指摘していました。
YouTuberの多くは動画配信一本で生計が立てられるほど稼いでいる人が多いです。
他に安定した収入を得られる職に就いていなかったり、20%差し引かれても問題ない報酬を稼げていなかったりする人にとっては、マネジメント料の負担は大きいと言えるでしょう。
・サービスが悪いという噂
UUUMはサービス面で悪いという噂も退所ラッシュの原因につながっているといいます。
事務所に所属するマネージャーは、多数のチャンネルを掛け持ちしています。
そのため、毎回20%のマネジメント料を支払うのは割に合わないのではと、おのだまーしー氏は指摘していました。
また、UUUMに所属するとマネジメントを全て任せることになるので、自らビジネスをすることが難しくなるでしょう。
自分でビジネスチャンスを掴む機会が失われるので動画再生数が上がらず、伸び悩むYouTuberもいるそうです。
そこで別のYouTuberのプロデュースをしようと考えてUUUMに掛け合ったものの、断られてしまったという話もあります。
フリーランスなら自由に動画を作ることができ、また自力で新しいプロジェクトを生み出し実行することも自由です。
大型プロジェクトの実行力で考えれば事務所入りの方が自由ですが、実現するかどうかは事務所側の判断が必要という点がデメリットです。
UUUMはコンテンツ制作のサポートも行っているので、その経験と知識から今回は売れるコンテンツではなかったと判断し、相談を却下した可能性があります。
そのため、必ずしもサービス面が悪いとは一概に判断できませんが、自力でビジネスチャンスを切り開ける人には不満が出やすい部分があるのかもしれません。
YouTuberが事務所を辞める理由は様々で、単純に力がついて自分1人でやっていけると思い退所を決意する人もいます。
その一方で、マネジメント料の負担やビジネスの自由度に制限があるといった、事務所に入るデメリットを強く感じて辞める人も多いでしょう。
しかし、今後も退所が相次ぐのであれば、マネジメントのやり方も見直しが必要となる可能性があります。
また、これから事務所に入るYouTuberもメリットだけではなく、デメリットを理解した上で所属する必要があるでしょう。