企業の情報発信というと公式Webサイトの運用が一般的でした。そこにSNSが登場したことで、多くの企業がFacebookやツイッターといった公式アカウントを運用するようになっています。
リアルタイムで情報発信ができ、1日に多くの人がチェックするので高い宣伝効果に期待できます。その一方、ただ「公式」として運用しているだけでは、思ったよりもマーケティング効果が出ない場合もあります。
今回は企業が行っているSNS対策の課題についてご紹介しましょう。
広告的な「公式アカウント」は敬遠されがち?
消費者の多くは購入意思決定の参考に公式サイトや公式アカウントを閲覧します。
しかし、その内容は企業の都合に合わせて発信された情報なので、消費者は一歩引いて見ることがほとんどです。
ただ商品情報やお知らせを発信している公式アカウントは広告的な感じがあり、敬遠する消費者は少なくありません。
消費者の多くは都合の良い情報ではなく、悪いところも含めてリアルな情報を求めるので、公式情報以上に口コミを意思決定の判断に活用するケースが多いです。
マーケティングやブランド担当は安全な情報を作って発信するのではなく、本音を交えながらポジティブな情報を作り発信することが重要と言えます。そうなると、公式情報らしさを回避する必要があります。
日本の公式アカントで増えている「中の人」パターン
企業は試行錯誤を繰り返して公式アカウントを運用しています。
そこで最近増えているのが「中の人」が発信するパターンです。
これは広報や宣伝担当者が公式アカウントで情報を発信しつつ、消費者とコミュニケーションを取る運用方法になります。
広告や宣伝らしさを減らすために、商品の強みだけではなく弱みや使い方、アイデアなどユニークな情報も発信されています。やらせを感じさせない本音やリアルさを伝えられます。
れっきとした公式アカウントですが、公式情報の枠を超えており、個性が滲み出ているので好感を持つ消費者は多いようです。
その一方、このパターンはアメリカでは驚かれる手法と言われています。
アメリカの場合、企業やブランドの看板を表に出しつつ、フランクでフレンドリーな会話をする公式アカウントはあまりありません。
かといって、淡々と情報発信しているわけでもありません。中には個人的な意見を発信したり、ユーモアを交えた投稿も珍しくありません。
しかし、企業・ブランドの裏に、個性を持つ個人がはっきり見える形は日本独特の形であり、アメリカではほとんど見かけないのです。
また、アメリカではSNS担当は不遇なポジションという考えが強く、公式アカウント運用は広告代理店などの専門業者にアウトソースするケースは増えています。
人材不足も関係していますが、ポジションに魅力を感じなくなっている点もアウトソース化が進む要因のようです。
中の人パターンは誹謗中傷を覚悟の上で色々なユーザーとコミュニケーションを取り、批判が来ても反論は許されず気の利いたひねる出しが必要です。
タフさが求められる業務内容ですが、効果が発揮されているかどうかは明確ではなく、なかなか評価されないのが実情です。
アメリカの給与相場を見てみると、マーケティング担当とSNS担当は約1.5倍の差があり、金銭的に釣り合わないと言えます。
主体性を持たせる方法
主体性のある情報発信の方法は中の人パターンだけではありません。その発信方法とはオピニオンリーダーパターンとファンパターンの2つです。
オピニオンリーダーとは、集団の意思決定に置いて、大きな影響力を持つ人物のことです。
つまり、商品のジャンルに対して強い影響力を持つ人物の協力を得て、企業アカウントの運用や情報発信していく方法を指します。
例えば、冷蔵庫ブランドのアカウントなら家電マニア、美容サービスのアカウントならモデルや美容の専門家などが該当します。
このパターンは都合の良い情報ではなく、レビューに近い情報発信となるので、消費者は信ぴょう性の高い情報を得られます。
オピニオンリーダーに情報を発信してもらう場合、商品を正しく理解し、的確に良いところを訴求してもらうことが重要です。
訴求ポイントとなるのがベネフィットとシーンの2つです。ベネフィットは他商品との比較や、その商品が良い理由やストーリーを語ってもらうことになります。
一方、シーンは商品の使い方やアレンジなどを使用する上での択一性をアピールする必要があります。
また、効果的にアピールするなら、オピニオンリーダーに表現方法を任せることがポイントです。
その方がオピニオンリーダーも納得できる方法で主体性を保ちながら情報発信ができ、エンゲージしているユーザーの期待も裏切りません。アメリカで多いアウトソースとなり、広告塔になってもらうのでそれなりの報酬が必要になります。
ファンパターンとは、商品やブランドの利用者がつながっているユーザーを中心に情報発信していくスタイルです。
発信者のフォロワーが多いほど認識されやすく、熱意も温存されやすいと言えます。この方法を促すにはハッシュタグの使用が効果的です。
例えば、企業側でハッシュタグを使った投稿を促すイベントが開かれています。
これも一種のファンパターンで、商品の写真や感想などのレビューがSNS上で広まるので、認知していないユーザーへの訴求効果が期待できます。
また、企業側が何か報酬を出して企画すると多くの投稿を促せます。報酬はお金に換算しにくい価値を持つものが良く、ブランドの非売品や限定品などが良いでしょう。
金額に換算できてしまうと、商品を広めるという純朴な喜びに水を差してしまうので、それを防ぎ熱量を温存させるための対策です。
音楽に特化したSNSの活用
世界には様々なジャンルの音楽があります。J-POPやロックなど一般的なジャンルは根強く浸透しているものの、クラシックやジャズなど高級音楽業界は衰退の道を進んでいます。
衰退し続ける理由は、高級音楽を聞きに行くハードルが高くなっているからです。また、音楽家の宣伝が効果的にリーチされていない点も衰退につながっています。
そこで、音楽イベントの情報を提供する株式会社Sonoligoは、音楽に特化したSNS「Sonoligo」を公開しました。
このSNSを活用することでユーザーは音楽イベントを知り、イベントに参加するきっかけを見つけられます。
今までFacebook、ツイッター、Instagram、Youtubeなど多彩なジャンルが集まるSNSの活用が中心でしたが、分野に特化したSNSならより効果的にリーチできるでしょう。
では、Sonoligoはどんな機能があるSNSかご紹介していきます。
一般的なSNSはタイムラインに投稿がならび、時間が経つと他の投稿に情報が埋もれてしまいます。
Sonoligoはカレンダー機能があり、イベント情報を分かりやすく表示しているので、リーチしやすくなっています。
音楽家や会場をフォローすれば、いつでも情報の確認が可能です。
音楽家に特化したプロフィールや会場の紹介ページを作成できます。
プロフィールでは経歴や受賞歴も登録でき、名刺代わりになるでしょう。会場の紹介ページには営業時間や住所だけではなく、雰囲気なども伝えられます。
位置情報などを基に直近のイベントを自動的にリーチして表示します。
こうすることで、個人的なリーチで気付けなかったイベントをユーザーに認知させることが可能です。
消費者の心は日々変化しており、今のニーズは本音やリアルに追求した情報です。
効果的とされていたSNSですが、消費者の変化に合わせて運用方法も変えていく必要があるでしょう。広告的な公式アカウントではなく、主体性を持った情報発信が求められています。
また、情報がありふれているので、特定分野に特化したSNSを活用することも一つの手段です。今後はSonoligoのような特定のジャンルとユーザーをつなげるSNSが増えていくと考えられます。