株式会社の株式を保有して株主になると、配当金とは別に株主優待として商品やサービスを受け取れるようになります。ただ、株主優待をもらうためには保有する株数や時期などの条件を満たす必要があり、賢く選ばないと損してしまう可能性があると言われています。
では、株主優待株を選ぶ際にはどのような点に注意すれば良いのでしょうか?最近の株主優待事情について解説していきましょう。
どのような株主優待がある?
株主優待は、企業によって様々な商品やサービスが受けられる特典のようなものです。では、最近の株主優待にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
大手全国チェーンのイオンでは、株主優待として「イオンオーナーズカード」が受け取れます。イオンオーナーズカードは100株以上の保有株で年2回キャッシュバックが受けられるものです。キャッシュバック率は3・4・5・7%で、保有株に応じて変わります。100株の保有であれば、半年で20万円の買い物をした場合は3%の返金となり6000円キャッシュバックされる仕組みです。また、1000株以上の保有があれば2月末日に3年以上継続保有の方を対象にイオンギフトカードが受け取れるという特徴もあります。
マクドナルドでは、100株以上で食事優待券が受け取れます。100株以上で優待券1冊・300株以上で3冊・500株以上で5冊というように保有株に応じてグレードアップするのも特徴です。食事優待券は、バーガー類・サイドメニュー・ドリンク類の無料引き換え券が1枚になったシート6枚で1冊となっています。
東証一部に上場しているすかいらーくホールディングスでは、100株以上ですかいらーく「グループのレストランで使える株主優待カードが発行されます。100株以上で3000円分の食事優待券が受け取れます。300株以上になると、6月・12月の年2回発行され、金額もグレードアップするためお得です。
オリックスの株主優待は、100株以上で全国各地の取引企業が製造販売する食品や飲料などが掲載されたカタログから品物を受け取れるふるさと優待が受け取れます。ふるさと優待の他にも、株主カードとしてオリックスグループが展開するサービスを割引価格で利用できる優待もあります。また、3年以上継続して保有していれば、ふるさと優待のカタログ内容がをさらに充実した内容になるので、継続して保有するのがおすすめです。
インスタントラーメンやカップラーメンなどの即席麺で有名な日清食品では、100株以上の保有で株主優待が受けられます。100株以上の場合、グループ会社製品の詰め合わせギフトか、国連WFPへの寄付のどちらかで選択できます。300株以上の場合は、詰め合わせと1500円相当のオリジナルグッズのセットか、国連WFPへの寄付のいずれかが選択可能です。
ダイドーグループは100株以上で3000円相当のグループ商品が受け取れます。商品はダイドーの飲料をはじめゼリーなどの詰め合わせとなっています。また、100株以下の株主であっても、1株以上保有していれば株主専用サイトにおいてグループ企画の商品を特別価格で購入できるのもポイントです。
こうしてみると、株主優待を実施している企業ではほとんどが100株以上の保有が必要になっています。
しかし、最低単元が100株の場合でも、株主優待を受け取るには500株必要な企業もあるので、事前に確認が必要です。
株主優待で損をしてしまうケースも
国内では、株主優待は明治時代に鉄道会社が実施した乗車券の優待が最初だと言われています。
バブル崩壊後、個人投資家に株を保有してもらおうと導入する企業が徐々に増え、現在では1000社以上の企業において株主優待を実施するようになりました。
株主優待を受け取るためには、権利付き最終日時点で株を保有しているかどうか、また株主優待に必要な株数を保守しているかどうかが鍵となります。
権利付き最終日というのは、権利確定日である決算日のことを言います。株主優待の商品やサービス券などが届くのは、権利付き最終日の約2ヶ月後が一般的です。
しかし、権利付き最終日には株主優待を受けようと株を買う投資家が増えるため、株価が上昇する可能性があります。逆に、その日を過ぎればすぐに株を売却してしまう方が多い傾向にあります。
また、株主優待を受け取るには株数を指定している所がほとんどです。
例えば、100株以上保有している株主に商品券を進呈するといった条件が決められています。保有株数に応じて株主優待の内容がグレードアップする企業も多いため、まずは企業の株主優待の必要株数をチェックしておく必要があるでしょう。
ただ、実際に株を選ぶ際には、どんなに魅力的な株主優待を実施している企業であっても、業績が良く、成長性・安定性が見込めるかどうかを基準に見極めなければなりません。
業績が悪い企業の場合、株主優待を実施していても廃止する可能性があります。また、廃止が分かると株を売却する投資家も多いため、株価が急落するケースもあります。買った時より株価が下がってしまい、その状態で売却すれば含み損を抱えてしまうので注意が必要です。
企業が安定して利益を出しているかどうかをしっかり確認しましょう。株主優待がなくても株を買いたいかどうかで見極めるというのも方法の1つです。
しかし、最近は株主優待が注目を浴び、優待内容で株価が左右されるほどになっています。そのため、権利付き最終日以降の株価下落も大きく、結果的に損をしてしまうケースも増えてきているのです。
株主優待目的で買うのは避けるべき
生活に使えるお金や貯金を増やすために、株式投資をしている方は多いでしょう。
しかし、それ以上に最近では株主優待を目的とした株式投資も増加しているのです。株式投資は、購入時よりも株価が下がると元本割れと言って投資金額よりも下回ってしまうリスクがあります。
上記でも述べたように、業績が悪化しつつある企業の株を買うのは危険です。どんなに魅力的な株主優待であっても、まずはその企業の株を本当に買いたいのか見極める必要があります。業績や成長性を把握し、生活に無理のない範囲の余剰資金で行わなければなりません。
株主優待があるからという目先の理由だけで買ってしまうと、かえって損をしてしまう可能性もあります。株価がいくらまで下がったら売却するのかを購入時に決めておけば、売り時を逃す心配がないでしょう。
もちろん、株式投資には値上がり益が得られるというメリットがあり、収益を上げるのも夢ではありません。
投資した時の金額よりも株価が上がる可能性もあります。そうなるためにも、株式投資をする際には業績を確認して株価が大幅に下落する可能性のあるものは買わないようにしましょう。株主優待だけを見て判断するのではなく、冷静に企業分析して取り組むことが大切です。その上で、株主優待を楽しむようにすると良いのではないでしょうか?
今回は、最近の株主優待事情について紹介してきました。個人投資家の中には、1年で多くの銘柄の株主優待を受け取っている方も少なくありません。
しかし、初心者が株式投資をする際には、株価の値動きに注意し、企業分析をしっかりした上で銘柄を選ぶ必要があります。企業の株式を買う場合は、長期で保有するスタイルで、お得な株主優待を受け取れるよう挑戦してみてはいかがでしょうか?