皆さんは「ノマドワーカー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?平成に生まれた言葉なのですが、平成の多様な働き方の変化の中で、現在では何処に行ったのか分からなくなっている存在でもあります。
そもそもこの「ノマドワーカー」という言葉自体が、2000年代後半に日本のネット業界に浸透した言葉なのですが、今回はノマドワーカーの意味や現在のノマドワーカーについてご紹介していきましょう。
ノマドワーカーとは?
ノマドワーカーとは、英語で遊牧民を意味する「Nomad」から由来している言葉です。日本では前述した通り、2000年代後半にネットから世間に出回り始めました。その頃、すでに海外では「Digital Nomad」や「Hyper Nomad」という名前で多くの人から認知されていたようです。
平成の働き方の代表的な1つとも言えるノマドワーカーですが、このノマドワーカーは特定の仕事に就かずに移動をしながら働く人を意味しています。
そのため、自由な場所で仕事をすることができるとされ、遊牧民のように移動しながら働く様を表現していることが考えられます。
一般的にノマドワーカーと言えば、ノートパソコン片手にスマホやタブレットなどを駆使しながら、オフィス以外のWi-Fiのあるカフェや喫茶店などで仕事をしているイメージがあります。これは、2012年にノマドワーカーの代表的な存在がTV番組で紹介された際に、大手コーヒーチェーン店でMacを広げて仕事をする様子が話題となったためでしょう。
他にも、ジャーナリストがノマドワーキングについての本を出しているなど、世間からの注目度が高かったことが分かります。しかし、今では見る影もなくなってしまったようです。一体それは何故なのでしょうか?
ノマドワーカーのメリットとデメリット
ノマドワーカーは平成に入ってから、生み出された自由な働き方の1つです。一見魅力的に思えるノマドワーカーですが、現在何処へ行ったか分からない状態を考えると、デメリットも多くあることが考えられます。そこで、ここではノマドワーカーとなるメリットとデメリットについてをご紹介していきましょう。
ノマドワーカーはその言葉通り、時間や場所に縛られることなく仕事をすることができます。そのため、朝から満員電車に揺られながら通勤することもありません。好きな場所で仕事をこなすことができるのです。また、ノマドワーカーの多くはオフィスを構える必要がないことから経費削減にも効果的でしょう。
経費削減を考えるのであれば、自身の私服で過ごせる時間も多く、スーツを着る機会もそこまでないため、スーツ代やクリーニング費用も節約することができます。通勤時に必ず必須となってくるのが通勤費用ですが、ノマドワークを行うカフェや喫茶店などのお店が自宅から近ければ近いほど通勤費用の削減や、通勤時間の削減にもつながることが考えられます。
他にも、行っている仕事量が収入とイコール関係となり、表面化していることからモチベーションにもつながりやすくなっています。ノマドワーカーの仕事内容にもよりますが、自由に場所を決めて仕事ができることから、インスピレーションを受けやすく、アイデアが必要となる仕事にも適していると言えるでしょう。
ノマドワーカーには、多くのメリットがあり、そのような働き方に憧れる人もいるでしょう。しかし、メリットが多くある反面、ノマドワーカーにはデメリットも多くあるのです。デメリットとして最も大きいと考えられるものは、社会的信用を得にくい点でしょう。
会社に勤めていない分、自由な生活ができると考えられますが、クレジットカードなどを作ったり、ローンを申請したする時に、カードが作れなかったりローンの申請も通りにくくなってしまうことが考えられます。このような社会的信用は、会社勤めであるか否かが大きく関わってきてしまうのです。
社会的信用が得にくい点の次にデメリットとして考えられるのは、セキュリティ面での問題です。ノマドワーカーは、店舗などの公共の場を中心に仕事場としているために、サイバー面でのセキュリティーは欠かさずに行っておく必要があります。
また、それに加え、仕事に関する資料や大切なデータが入っているメモリの置き忘れ、通りすがりの人のチラ見ですらこの情報社会の中では致命傷となることが考えられます。それ以外にも、ノマドワーカーが仕事場とする喫茶店やカフェ、図書館などでは電話の使用が制限されています。電話連絡やインターネット回線を用いた会議や打ち合わせなどが必要となる場合には、そのような公共の場を避けるなどの配慮をしなくてはなりません。
ここでご紹介したメリットとデメリットの他に、会社という組織にいた方が、経理や雑務を行ってくれる人がいるため、楽に仕事をすることができたと考える人もいます。ノマドワーカーは一見するととても魅力的な働き方に思えますが、その反面で会社勤めとは異なり組織というバックアップが得られないのです。このことから、徐々にノマドワーカーを離れる人が多くなっていったのではないかと考えます。
ノマドワーカーの今
現在ではその存在感が薄くなってしまっているノマドワーカーですが、今でもノマドワーカーとして仕事をしている人は多くいます。インターネットが普及している現代で、働き方の自由が求められていることも事実です。そんな中、ノマドワーカーで自由に働く人生を選択することも1つの手段となり得るでしょう。ノマドワーカーは、遊牧民のように仕事をする場所を変え、現在も活躍しています。
今後の日本では、よりノマドワーカーのような働き方が重宝されていくのではないかとも考えられています。通勤のためのラッシュ・渋滞を緩和したり、オフィスを設けないことでの光熱費削減、妊娠・出産・育児などを担う女性の社会進出を促進、男性の育児参加促進なども、今後より期待されていくのではないでしょうか?ノマドワーカーという1つの働き方があるという選択肢を知っておくことで、より充実した人生を送れるようになるでしょう。
現時点でのノマドワーカーは、デメリットでも挙げたように社会的な信用が得られにくいです。ワーキングスタイルの1つとして、法的に補助を受けられたり、企業からのサポートを受けられるような働き方となったり、社会的な地位を確立していくことができれば、ノマドワーカーのような働き方はより普及していくことが考えられます。
自由な働き方をしていくことは、自分自身の人生においてとても重要なものとなっていきます。もちろん、会社勤めの良し悪しを言っているわけではありません。会社勤めをしている人には、会社という大きなバックが付いています。後ろ盾があるかないかは、精神的にも大きな影響を及ぼすでしょう。
今後も様々な働き方が発展していく時代となっていくでしょう。その中で、もしかしたらノマドワーカーにも再度注目が集まる可能性もあります。ノマドワーカーは今でこそ何処へ行ってしまったのかわからないとされていますが、今後の日本の働き方の変容次第ではノマドワーカーの社会的地位も見直されるのではないかと考えています。
ブロガーが職業として認められたり、YouTuberが職業として認められている現代で、ノマドワーカーも職業の1つとして世間に認められていくことが課題となっています。認知されるためには、より多くの成功体験や成功実例が必要とされるため、今後のノマドワーカーに期待が寄せられるでしょう