ここ数年、毎年長期休みに出てくる問題として挙げられるのが「宿題代行サービス」です。この宿題代行サービスは賛否両論があるもので、人によってはありがたいと思う人もいれば、そうとは思えない人もいます。
今回は宿題代行サービスを詳しく知らない人のために、どんなサービスなのか、本当に助かるサービスなのかご紹介していきましょう。受験を控えている子どもがいる家庭の方は、ぜひ今回の記事をきっかけに宿題代行サービスについて考えてみてください。
そもそも宿題代行サービスとは?
多くの子どもが宿題になかなか手を付けたがらない長期休みの時期は、保護者も心配になるでしょう。宿題代行サービスでは、そのような手の付けられない宿題を代わりにやってくれるサービスを行っています。
対応できる宿題は、長期休みのものに限らず普段出される宿題でも問題ありません。
代行サービスは、算数や漢字ドリルだけではなく、読書感想文や工作、習字、音楽、レポート、自由研究などありとあらゆる種類のものを代行してくれます。
また、学校の宿題だけではなく、塾や稽古で出されるものでも対応可能になっています。この宿題代行サービスの気になる利用料金ですが、ドリル1冊5000円、作文や読書感想文1枚分で3000円という値段が相場となっているようです。
さらに、急ぎの場合にはプラス5000円ほどでやってもらうこともできるようなので、時間のない人でも利用できるサービスになっています。
宿題を引き受けてくれる人はアルバイト学生が多いようですが、難関大学や有名大学の学生、美大、音大などの専門知識を有している学生なども所属していることが多く、まさに学習のプロが宿題代行サービスを行ってくれます。
他にも、現役教師や家庭教師、塾講師などが依頼した人の年代に合わせて宿題を請け負ってくれるので、本格的な宿題となって返却されるようです。
宿題代行サービスは子どもの特徴に合わせることで、より本格的なサービスを行えます。子どもの性格から癖や筆跡を考慮しつつ、子どもの学力に合わせて一部間違った回答をするなど、大雑把になりがちな子どもの回答になるように宿題を手掛けています。
どんな保護者が利用しているのか?
宿題代行サービスは料金がかかるものなので、当然保護者の同意を経てサービスが行われることがほとんどです。通常自分の力で解き学習能力を身に付ける宿題ですが、保護者達は一体どういった考えで宿題代行サービスを利用するのでしょうか?
その理由の多くには、多忙な生活を送っている子どものためにという理由が隠されていました。受験対策のために塾へ行って勉強することが多い学生は、夏休みや冬休みには特別講習に参加しなければいけないこともあり、学校側から提出された宿題までに手が届かない学生が多くいます。
一般的に考えると学校の宿題は塾で出される学習よりもレベルが低いもので、多くの学生が宿題をやる価値を見い出せないのです。そのことを理解している親御さんとしては、子どもの負担を軽減しようと宿題代行サービスの利用を考えるのでしょう。
しかし、世の中には「お金で問題を解決するのは理解できない」と思う人もいます。このような意見が出ている中で、宿題代行サービスを提供している会社はどのような見解を示しているのでしょうか?
宿題代行サービス業者の考え
宿題代行サービスを事業として行う宿題代行屋Qでは、宿題の全てを手掛けるわけではないようです。代行した解答や作品は依頼主の元へ帰ってきた際に、子どもが再構築や編集を行うように促しています。
また、作文や読書感想文にありがちな同じような文章は、代表自らが一つひとつ丁寧にチェックを行い、他の人と被らないようにもしています。
宿題代行Qでは、少ない人数のスタッフで構成されている会社です。そのため、一人ひとりがきちんとサービスとして宿題を行っているのか厳しいチェックがなされています。
そして万が一WEB上の盗作だと発覚した場合には、依頼主には全額返金を行っており、スタッフの厳正処分も下しています。
これにより、宿題代行Qの信頼度は高く、安心して任せることができます。そんな宿題代行Qですが、本来は宿題は自分でするべきものと考えているようです。
教育の一環でもある宿題や課題は自立をさせるためのものです。自立がなくては、日本は成長どころか退化が進んでいくことでしょう。宿題代行Qでは宿題をやることに対する最初の取っ掛かりをなくすことを仕事としています。
そのため、宿題代行が事業内容ではありますが、代行サービスを通して学習のあり方を考えてもらいたいと思っているのです。
そしてサービスは時間を有効活用するとしても、考える方も多くいます。宿題にまで手が付けられないほど忙しい学生は多いです。
そんな学生をサポートしてくれている宿題代行Qは、多くの保護者の共感を買い、テレビでも取り上げられるほど話題の会社になりました。
宿題代行サービスに対する世間のイメージ
宿題だけには限らず多くの学習をサポートしてくれる宿題代行サービス業者ですが、世間の声を見ると批判的な意見が多く見受けられました。
学びのエバンジェリストと呼ばれる本山勝寛氏は、
「受験勉強の方が優先順位が高く、学校の宿題をやっている時間がもったいないのでやりませんでした」と正直に理由を述べて、教師に申告すればよい。
と語っています。
また、
学校の成績が少し悪くつけられたとしも、虚偽で良い成績を取ることは間違ったことで、正直で誠実であることのほうがずっと重要だということを、親は子どもに伝えるべきだ。
とも述べています。
この考えに賛同する人は多く、政府に代行業者に規制を掛けるべきと唱える人も多くいるようです。宿題代行サービスが多く見受けられるようになってから数年経ちますが、今だにサービスの利用数は減ることなく、むしろ増えてきている現状です。この宿題代行サービスは今後も増え続けるのでしょうか?
宿題代行サービスは長い目で見るとやはり良くはない
宿題代行サービスは、お金によって問題を解決できるという価値観を子どもに与えてしまうのがデメリットの一つとして考えられます。そして問題を自力で解決できないとなってしまうと、社会人として自立をするべき場所にて問題に躓いてしまうことが考えられます。
こうやって問題を解決できないと困るのは大人ではなく、宿題をやらなければいけない子どもたちです。
そもそも宿題をきちんとこなせないのは、塾や色んな習い事を続けるには無理があるとも言えますし、背伸びをしてレベルの高い学習を受けるのであれば、教育のレベルを下げる必要があるとも考えられます。
宿題代行を使って宿題よりも質の良い学習をし、良い学校に入ることができたとしても、勉強量についていけず挫折してしまう学生も多いのが現実です。
宿題は子どもを挫折させないためにも必要なものと言えます。宿題代行サービスは便利に感じることができますが、依頼する両親は今一度自分の子どもに本当に必要なことなのか考えるべきだと言えるでしょう。
数年前から話題に出てくるようになった宿題代行サービスですが、利用を依頼する人の多くが宿題をする子どもではなく、その親です。宿題が自分に価値があるかどうかを決めるのは、宿題をやる子ども自身が決めるべきことでしょう。
多様性のある世の中になってきている今、宿題代行業者の考えも理解はできますが、本来あるべき姿として宿題はなくてはならない存在であることをもう一度確かめなくてはいけません。